Why do we listen to music? — Report 01 · 6 songs
楽しくなりたいから
人はなぜ音楽を聴くのか。第1回の答えは、たぶんこれ。
「頑張れ」と説得してこないのに、勝手に口角が上がる6曲。ぜんぶ、このページの中で聴ける。
IN THIS ISSUE
人はなぜ音楽を聴くのか。
いちばん最初に浮かぶ答えは、「楽しくなりたいから」。
何もしたくない朝から、着替えて出かける夜まで。6曲で、一日をたどってみる。
どの曲にも、楽しさが生まれた現場がある。スタジオにいた一人の楽天家、ボウリング場のあるビルの一室、本物の結婚式、9回ボツをくらった作曲家。
この6曲の続きは、Spotifyのプレイリスト「多幸感ポップス」で。
目が覚めるだけで、いい日の始まりになる
Bill Withers - Lovely Day
1977
1977年のアルバム『Menagerie』から。曲を用意したのはスキップ・スカーボロー、そこにウィザースが言葉を乗せたAmerican SongwriterSongfacts。
このスカーボローが、根っからの陽気な人だった。その気分が、そのまま歌詞に入り込んだAmerican Songwriter。歌の主人公は、つらい朝があることを隠さない。それでも、あなたを見ればいい日になる。
ヒットから遠ざかっていたウィザースは、この曲で全米30位に返り咲き、イギリスではトップ10入りしたAmerican Songwriter。
朝をやり過ごしたら、夕方。そろそろ、街へ出よう。
Photo: Dale Cruse / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons土曜の夕方が、街へのパスポートになる
SUGAR BABE - DOWN TOWN
1975
1975年4月25日のシングル。詞は伊藤銀次、曲は山下達郎WikipediaJ-Lyric。
もとはシュガー・ベイブのための曲ではなかった。ドゥーワップのザ・キング・トーンズのアルバムを作る企画で、伊藤と山下に声がかかった。伊藤の頭にあったのはフォー・トップス、山下はアイズレー・ブラザーズにはまっていて、その要素がイントロに入ってきた。伊藤いわく「『DOWN TOWN』は笹塚で生まれた曲」otonano。
1980年、EPOがデビュー曲としてカバーし、フジテレビ『オレたちひょうきん族』のエンディングに使われた。2020年には『レコード・コレクターズ』の「シティ・ポップの名曲ベスト100 1973-1979」で1位に選ばれているWikipedia。
街に出ると、知らない誰かの、いちばん大事な一日が始まっていた。
Photo: VVVF / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons知らない人の結婚式が、ライブ会場になる
Maroon 5 - Sugar
2015
ロサンゼルスの結婚式に、バンドが予告なしで現れて演奏する。監督は映画『ウェディング・クラッシャーズ』のデヴィッド・ドブキンWikipedia。
撮影はグレンデールからマリーナ・デル・レイまで、週末の3日間。バンドは毎日10〜12時間、移動と演奏を繰り返した。アダム・レヴィーンいわく「段取りは本当にストレスだったけど、最高に楽しかった。気に入ってもらえなかったら、完全な大惨事だった」Southern California Wedding。
「あんなに大きな反応が返ってくるとは思わなかった。体から魂が抜けるような体験だった」とも語っているABC7。
そもそも、どうして音楽を聴くとこんな気持ちになるのか。音楽そのものにお礼を言った人がいる。
Photo: upyernoz / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons追悼が、全米1位のお祭りになる
Stevie Wonder - Sir Duke
1976
1974年に亡くなったデューク・エリントンへの捧げもの。アルバム『Songs in the Key of Life』からuDiscover MusicWikipedia。
1977年6月、本人はこう話している。「題名は最初から決めていた。でも、自分たちのために何かをしてくれた音楽家たちについての歌にしたかった。彼らは、すぐに忘れられてしまうから」uDiscover Music。歌詞にはカウント・ベイシー、グレン・ミラー、ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルドも出てくるWikipedia。
冒頭からたたみかけるホーンは、トランペット2本とアルト、テナーのサックス。1977年5月21日から、全米1位を3週続けたuDiscover Music。
理屈はもういい。あとは着替えて、出かけるだけ。
Photo: William P. Gottlieb / Public domain / Wikimedia Commons部屋で着替えるだけが、ラスベガスの開演前になる
Bruno Mars - 24K Magic
2016
このアルバムを作るとき、スタジオには服装の決まりがあった。「スウェットで行ったら、スウェットみたいな音になる。だから集めたジュエリーを全部つけて、いちばんいい靴をはいて曲を書いた」Billboard。
「ライブのことと、自分が開きたいパーティーのことだけを考えた」Billboard。表題曲のこのビデオが、その答えだ。
同じ2016年、パリで開かれたヴィクトリアズ・シークレットのファッションショーに出たとき、最初に歌ったのは表題曲ではなく、アルバムの「Chunky」だったTeen VogueNYLON。パリのランウェイで、いきなりこれ。
関連動画 — パリのランウェイで、いきなりこれ
踊り疲れたところで、最後にこれをどうぞ。
Photo: Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons最後に、これをどうぞ
Pharrell Williams - Happy
2013
映画『怪盗グルーのミニオン危機一発』のために書いた曲。でも最初からハッピーだったわけではない。恋に落ちたグルーの曲を、9回出して9回ボツにされたNME。本人いわく「9曲出して『これは違う』。落ち込んだし、プライドはズタズタ。でも10曲目のとき、もう何も残ってなかった」Creative Review。
そうして生まれたこの曲に、「世界初の24時間ミュージックビデオ」がついた24 Hours of Happy。上のはその4分の公式版。
人はなぜ音楽を聴くのか。第1回の答えが、題名にそのまま書いてある。だから最後に置いた。
Photo: Derek Bridges / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons人はなぜ音楽を聴くのか。今日の答えは「楽しくなりたいから」。
でも、答えはひとつじゃない。
次回のレポートもお楽しみに。
この特集をシェア
▼この記事を書くきっかけになった動画
「歌を覚える季節は終わらない」
SOURCES
- American Songwriter — Lovely Day
- Songfacts — Lovely Day
- Wikipedia — Lovely Day
- otonano — 伊藤銀次が語るシュガー・ベイブ
- Wikipedia — DOWN TOWN
- J-Lyric — シュガーベイブ
- Southern California Wedding — Maroon 5 Sugar
- ABC7 — Maroon 5 Sugar
- Wikipedia — Sugar (Maroon 5 song)
- uDiscover Music — Sir Duke
- Wikipedia — Sir Duke
- Billboard — Bruno Mars 24K Magic interview
- Teen Vogue — Chunky at VS Show 2016
- NYLON — 2016 Victoria’s Secret performances
- NME — Pharrell rejected nine times
- Creative Review — How Pharrell got Happy
- 24 Hours of Happy
- Rolling Stone — Pharrell cries on Oprah
- Spotify — 多幸感ポップス
OTHER MAGAZINES — ほかの特集

CHAPTER 01
CHAPTER 02
CHAPTER 03
CHAPTER 04
CHAPTER 05
CHAPTER 06