Piano, Guitar & a Voice — 17 videos
心を震わせる弾き語り
ピアノ一台と、声ひとつ。それだけで、部屋の空気が変わる。
秋の夜にじっくり。ぜんぶ、このページの中で聴ける。
IN THIS ISSUE
楽器と人の魂が合わさったとき、素晴らしい空間が生まれる。
これは、ミュージシャンにしかできないことだと思ってる。 名演だらけで、選ぶのに本気で困った。
「弾き語り」と言っても、ここの決まりはゆるい。厳密にひとりきりじゃない演奏も混ざってる。 でも真ん中にあるのは、いつも楽器ひとつと、人の声。
並べてみたら、一本の道になった。ひとりで書かれた歌が、別の誰かの声で歌い直されて、 何十年も先へ、海の向こうへ渡っていく。たまに、こっち側へ戻ってくる。
動画は押すとこのページの中で鳴ります。曲ページがある曲には、そこへの入口も付けてあります。
Lately
ひとりで書いた歌を、13年後に別の声が拾う
1980 → 1993 → いま
Stevie Wonderが1980年のアルバム『Hotter than July』に入れた、ピアノのバラード。作詞作曲もプロデュースも本人Wikipedia。
1993年、R&BグループのJodeciがMTV Unpluggedでこの曲を歌う。それが本家を上回るヒットになって、Billboard Hot 100で4位。テレビの『The Arsenio Hall Show』では、Stevie本人が彼らの歌に加わっているWikipedia。

「Lately の美しさは、音楽史に残る」
これはもう、言い切っていいと思う。
動画の長さで比べると、Jodeciは5分49秒、本家は4分6秒。1分半以上のびている。のびた1分半に何が入ってるかは、押して確かめてほしい。
WITH — 同じ曲の、べつの夜
How Come U Don't Call Me Anymore
シングルの裏に隠れていた、ピアノと裏声
1982 → 2001 → 2016
1982年、Princeのシングル「1999」のB面。アルバムには入っていなかった。ほとんど裏声で、伴奏は本人のピアノだけWikipedia。
19年後、Alicia Keysがデビュー作『Songs in A Minor』でこれをカバーする。本人いわく、原曲は聴いたことがなかった。 テープを渡されて、3週間、毎日かけ続けたそうだWikipedia。
ただ、出すにはPrinceのOKが要る。電話をつないでもらうと、返ってきたのは「ペイズリー・パークに来て、弾いて聴かせて」。 18か19歳のAliciaは、本人の前で弾いて、許しをもらったRolling Stone。
そして2016年3月4日、オークランドのOracle Arena。ピアノとマイクだけで回った最後のツアー『Piano & a Microphone』の夜にWikipedia、Princeはこの曲を歌った。その録音が、2026年8月に出たアルバム『Timeless』のいちばん最後に入っているWikipediaUCR。

「Prince のライブは、会場の空気が素晴らしい」
動画の長さで、スタジオ版は3分54秒、このライブは5分54秒。ぴったり2分長い。その2分は、たぶん会場のぶんだ。
WITH — 本人の前で弾いて、許しをもらった人の版
(You Make Me Feel Like) A Natural Woman
人のために書いた歌を、自分で歌う夜
1967 → 1971 → 2015
1967年、Aretha Franklinのために作られた曲。詞はGerry Goffin、曲はCarole King。もとのアイデアはプロデューサーのJerry Wexlerから出ているWikipedia。
最初に歌ったのはArethaのほう。この章の主役は、書いた本人がピアノの前に座る夜。
1971年、Carole Kingは自分のアルバム『Tapestry』でこの曲を歌ったWikipedia。上の映像は、その年の2月、BBCのスタジオ。
それから44年。2015年のケネディ・センター名誉賞で、今度はArethaが、受賞したCarole Kingに向けてこの曲を歌うWikipedia。
書いた人と、最初に歌った人が、半世紀かけてお返しし合ってる。こういうのに、ほんとに弱い。
WITH — 44年後の、お返し
Let It Be
夢に出てきた、母さんのひとこと
London, 1969 → New York, 2021
Paul McCartneyは14歳のときに母メアリーを亡くしている。のちに、その母の夢を見た。夢の中で母さんは「大丈夫、just let it be」と言った、と本人が話しているWikipedia。
1969年1月、最初に録られたのは、McCartneyのピアノと歌だけの、一回きりのテイクだったWikipedia。
落ち込んだ日に聴くなんて、格好悪くて三流くさい。でも、聴く。
この歌を、50年あまり後のニューヨークで、Norah Jonesが歌っている。2021年12月、エンパイア・ステート・ビルの屋上の展望デッキ。 映像が出たのは、ビートルズがロンドンのビルの屋上でやった最後のライブ(1969年1月30日)から53年目の、2日前だったJamBase。
屋上の歌には、屋上で返す。
WITH — 53年後の屋上で
Norah Jonesって誰?という人のために、ひとつだけ。
2002年2月、Blue Noteからデビュー・アルバム『Come Away with Me』を出すWikipedia。翌2003年のグラミー賞で、本人がひとりで5つ持って帰った。最優秀アルバム、最優秀レコード、最優秀新人も、その中に入っている。このとき23歳WikipediaYamaha。
アルバムまわりでは、曲を書いた人、録った人、プロデューサーにも賞が出ていて、合わせて8つYamaha。総なめ、というのはたぶんこういうことを言う。
その最優秀レコードが、この「Don't Know Why」。書いたのはJesse Harrisで、Norah Jonesのデビュー・シングルとして2002年1月28日に出ているWikipedia。
秋の夜に一曲だけ、と言われたら、たぶんこれを押す。雨ならなお良し。
Live Aid
スタジアムで、最初に鳴ったのはピアノだった
Wembley, 13 July 1985
1985年7月13日、ロンドンのウェンブリー・スタジアム。Live AidでのQueenの持ち時間は21分。その始まりは、Freddie Mercuryがピアノで弾く「Bohemian Rhapsody」の一節だったWikipedia。
この動画、2分45秒しかない。カップ麺ができるより早く終わる。それで40年経っても、まだみんなこの話をしてる。
Goodbye Yellow Brick Road
いちばん怖かった夜が、いちばん好きな夜になった
1973 → 2013
1973年、Elton Johnの曲。詞はバーニー・トーピンWikipedia。
Sara Bareillesは、アトランタのVariety Playhouseで、ひとりでステージに立った。それまで「かなり大きな恐怖」だったソロの舞台が、 終わってみたら「人生でいちばん好きな経験のひとつ」になった、と本人が話している。この曲は、その夜のライブ盤『Brave Enough』のいちばん最後に入っているWikipedia。
動画の長さで、Eltonの原曲は3分13秒、Saraのライブは5分31秒。のびた2分ちょっとで何が起きてるかは、自分の耳で確かめてほしい。
WITH — ひとりで立った夜の、最後の曲
Ellie My Love
日本の歌を、Ray Charlesが英語で歌った
1979 → 1989
サザンオールスターズの「いとしのエリー」は、1979年3月25日のシングルWikipedia。
10年後の1989年、Ray Charlesがこれを英語の詞で「Ellie My Love」としてカバーする。サントリーのウイスキー「ホワイト」のCMソングだったWikipediaNewtone Records。
WITH — あの声の持ち主
Rayの「Ellie My Love」は公式の動画が見つからなかった。代わりに、Ray Charles本人の公式チャンネルから一本。
ほかの章は、向こうの歌が向こうで受け渡されていく話。ここだけ逆向き。日本の歌が、海を渡って、あの声で歌われた。
Shape Of You
和音を組み直したら、別の歌になった
Ed Sheeran → 藤井 風
まず本家。Ed Sheeranの「Shape of You」。
それを藤井風が、自分のチャンネルで「Re-harmonized」として上げている。ピアノ一台で、和音から組み直して歌っている。
藤井風の版は2分24秒。聴き終わったら、たぶんもう一回押してる。
WITH — 和音を組み直した版
達人はひとつの楽器で、ライブなら何万人に、ネットに乗れば何億回の再生にも届く。
達人の演奏は、時を超えて、国境を越える。
秋の夜は長いので、好きな順にどうぞ。
OTHER MAGAZINES — ほかの特集
- 松田聖子「青い珊瑚礁」1980年の夏は、まだ終わっていない。
- フジファブリック「若者のすべて」歌は、故郷へ帰ってくる。
- 山下達郎「さよなら夏の日」夏は終わる。返事は、来る。
- シティポップ14曲世界が先に見つけた、日本の夜。
- Out of Time から古筝のホテル・カリフォルニアまで『これいいね』は国境を越える ― デジタル東方見聞録
- Jamiroquai「Virtual Insanity」30年前から届いた未来
- Domenico Modugno「Volare」知っている曲ほど、知らない旅をしている。
- Nujabes「The Final View」景色より先に、音楽が旅を連れてくる。
- Nujabes本人がいなくなっても、旅は続いている。
- フィリピンとカラオケ毎日歌う国に、理由がある。
- MONKEY MAGICまず、聴いてください。— MONKEY MAGIC、48年目の実験
THE MAP — 17 VIDEOS
01Original 1980Stevie Wonder「Lately」レーベル提供の公式音源(Topic)。作詞作曲もプロデュースも本人
02Cover 1993Jodeci「Lately (Live From Uptown MTV Unplugged / 1993)」公式音源(Topic)。1993年、MTV Unpluggedのステージ
03Cover福原美穂「Songs*Lately / Stevie Wonder cover」本人の公式チャンネルの「Songs」シリーズ
04Live 2016Prince「How Come U Don't Call Me Anymore (Live)」公式音源(Topic)。2016年3月4日、Oracle Arena。アルバム『Timeless』(2026)の最後の曲
05CoverAlicia Keys「How Come You Don't Call Me (Piano & I: AOL Sessions)」aliciakeysVEVO。『Piano & I』と題したAOLのセッション
06Live 1971Carole King「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」CaroleKingVEVO。1971年2月10日、BBC In Concert
07Tribute 2015Aretha Franklin「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」The Kennedy Center 公式。2015年のケネディ・センター名誉賞、Carole Kingに向けて
08Official VideoThe Beatles「Let It Be」TheBeatlesVEVO(Remastered 2015)
09Cover · LiveNorah Jones「Let It Be (Live At The Empire State Building)」norahjonesVEVO。2021年12月、エンパイア・ステート・ビルの屋上で
10LiveNorah Jones「Don't Know Why (Live At The Empire State Building)」norahjonesVEVO。エンパイア・ステート・ビルでのライブ
11Live 1985Queen「Bohemian Rhapsody (Live Aid 1985)」Live Aid 公式チャンネル。1985年7月13日、ウェンブリー・スタジアム
12Original 1973Elton John「Goodbye Yellow Brick Road」公式音源(Topic・2014リマスター)。詞はバーニー・トーピン
13Cover · LiveSara Bareilles「Goodbye Yellow Brick Road (Live from Atlanta)」SaraBareillesVEVO。アトランタ、ひとりきりのステージ
14Original 1979サザンオールスターズ「いとしのエリー」公式音源(Topic・2024 Remaster)。1979年3月25日のシングル
15Official VideoRay Charles「Georgia On My Mind (Official Video)」Ray Charles 公式チャンネル。「Ellie My Love」の公式動画が無いので、本人の声はこちらで
16OriginalEd Sheeran「Shape of You (Official Music Video)」Ed Sheeran 公式チャンネル。原曲
17Cover藤井 風「Shape Of You (Re-harmonized)」本人の公式チャンネル。Ed Sheeranの曲を、和音から組み直して
SOURCES
- Wikipedia — Lately (Stevie Wonder song)
- Wikipedia — How Come U Don't Call Me Anymore?
- Wikipedia — Timeless (Prince album)
- Ultimate Classic Rock — Prince『Timeless』の曲目
- Wikipedia — Piano & a Microphone Tour
- Wikipedia — (You Make Me Feel Like) A Natural Woman
- Wikipedia — Let It Be (song)
- Wikipedia — Queen's performance at Live Aid
- Wikipedia — Goodbye Yellow Brick Road (song)
- Wikipedia — Brave Enough: Live at the Variety Playhouse
- Wikipedia(日本語)— いとしのエリー
- Newtone Records — Ray Charles「Ellie My Love」7inch
- Wikipedia — Don't Know Why
- Rolling Stone — Alicia Keys Had to Audition in Front of Prince to Cover His Song(2020)
- JamBase — Watch Norah Jones Cover The Beatles At The Empire State Building(2022)
- Wikipedia — Norah Jones
- Yamaha — Yamaha Artist Norah Jones Leads 45th Grammy Winners(2003)
- Wikipedia — Come Away with Me
動画はすべて本人・レーベル・公式チャンネルの映像。事実は上の出典で確認できた範囲だけを書いています。 「店主」の言葉は、ごきげん補給所の店主のものです。
