Series — You Make Me Smile · vol.2

玄関に、太陽がいる。
〜動物がくれるごきげん〜

シリーズ「パワースポット」vol.2。犬に、猫に、ネズミに。音楽家たちが動物に書いたラブソングを、4曲+1本の動画で。

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あの動画に、なぜ何千万人も戻ってくるのか。

YouTubeには、ひとつのジャンルがある。長いあいだ遠くにいた人が帰宅する。玄関の向こうで犬が匂いに気づく。扉が開く瞬間、犬は理性を捨てる。飛びつく。回る。鳴く。尻尾は、体全体になっている。The Dodoがまとめた「兵士と犬の再会」は、3,000万回以上再生されている。

条件も、理由も、契約もない。ただ「あなたが帰ってきた」。そのごきげんを、音楽家たちはずっと曲にしてきた。

まずは、その動画から。

The Dodo「兵士と犬の再会」

名曲のタイトルが、犬の名前

The Beatles - Martha My Dear

1968年『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』

The Beatles「Martha My Dear」この曲のページへ →

1966年、ポール・マッカートニーはオールド・イングリッシュ・シープドッグの子犬を家に迎えた。名前はマーサ。2年後の『ホワイト・アルバム』に入った「Martha My Dear」。上品なピアノと弦のこの名曲のタイトルは、犬の名前だ。

ポールの動物史は続く。ウィングスの「Jet」も、もう一頭の犬の名前。公式サイトによれば、いまはカメのテリーのために、ブドウの皮をむいてあげているそうだ。

ビートルズのメンバーが、カメのためにブドウの皮をむいている。世界で一番ぜいたくなブドウだと思う。

犬の次は、猫。泣きそうなときに笑わせてくれる存在の歌。

猫に書いたラブソング

Queen - Delilah

1991年『Innuendo』

Queen「Delilah」この曲のページへ →

フレディ・マーキュリーは大の猫好きとして知られ、ソロアルバム『Mr. Bad Guy』を飼い猫たちに捧げた。「Delilah」は、その愛猫デライラに向けた歌。泣きそうなとき、君は僕を笑わせてくれる——ざっくり言えば、そういう歌だ。

この連載のタイトルを思い出してほしい。You Make Me Smile。フレディはそれを、猫に向けて書いた。

ロックスターが本気で猫にラブソングを書く。かっこいいって、こういうことかもしれない。

ここまでは、人が動物を愛する歌。逆の話もしよう。

ネズミに捧げるバラード

Michael Jackson - Ben

1972年 / 映画『Ben』主題歌

Michael Jackson「Ben」この曲のページへ →

1972年、10代のマイケル・ジャクソンが映画『Ben』の主題歌を歌った。孤独な少年とネズミの友情の物語。少年は、誰にも理解されないネズミに向かって「君のことは僕が知っている」と歌う。

ネズミのバラードは全米1位になり、ゴールデングローブの主題歌賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされた。人間の友達がいない日でも、動物からのごきげん補給は機能し続ける。

もともとは別の歌手のために書かれた曲だったらしい。回り回ってマイケルに来て、ネズミの歌が全米1位。運命って面白い。

最後は、デビュー曲で犬への愛を宣言した人。

デビュー曲で、犬への宣言

Cat Stevens - I Love My Dog

1966年 / デビュー・シングル

Cat Stevens「I Love My Dog」この曲のページへ →

キャット・スティーヴンスの「I Love My Dog」は、なんと彼のデビュー・シングル。音楽人生の1枚目が「犬を愛してる。君と同じくらい」という宣言だ。

ユーモアと本音の配合が絶妙な、不器用な愛の歌。犬はたぶん、そんなこと気にしていない。

犬は給料をもらっていないし、猫は約束を守らない。それでも、帰宅の5秒前から玄関で待っている。

さあ、玄関に戻ろう。

人間のごきげんは、わりと割り勘だ。元気をもらったら返す。返した分を、またもらう。そのおかげで素晴らしいし、そのおかげで疲れる。

動物は違う。計算の外から、ただそこにいるだけで補給してくれる。で、ふとしたときに気づく。この子にとっての一日で一番のごきげん、私かもしれない。

あなたの犬に。あなたの猫に。あなたは、太陽だ。ところで、あなたのパワースポットは何ですか?

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SOURCES

Martha My Dear / Delilah / Ben / I Love My Dog

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